アメリカ合衆国の第二次大戦参戦に関する問題
問題 以下は、1937年10月5日のアメリカ合衆国大統領によってなされた演説の一部である。これを読み、以下の問いに答えよ。
「...それでも、私も諸君も、先見の明を持たねばならない。世界の90%の人々の平和と自由と安全は、①全ての国際秩序と国際法との破壊を目論む残り10%の人々によって、脅かされつつある。法の下で、また数世紀にわたって広く受け容れられてきた道徳規範に従い平和に生きたいと願う90%の人々は、己の意志を通す何らかの道を見出し得るし、見出さねばならない。
状況は、確かに皆に共通する問題である。関係する諸問題は、単に特定の条約における特定の規定の違反のみに関するものではない。これらは、戦争と平和の、国際法の、そしてとりわけ博愛の原則の問題である。②これらが協定の、とりわけ【 あ 】規約、【 い 】協定、及び(中国に関する)【 う 】条約の明白な違反を含むのは事実である。だが、世界の経済、世界の安全保障、及び世界の博愛という問題をも含んでいる。 不正と根拠ある不満とを除去することの重要性を世界の道徳意識が認めねばならないのは確かである。だが同時に、他国の権利と自由を尊重し、条約の尊厳を守り、国際的侵略行為に終止符を打つという、基本的な必要性も喚起されねばならない。
世界的無法状態という疫病が広がりつつあるというのは、残念ながら真実らしい。体の病の流行が広がり始めた場合、共同体は病の蔓延から共同体の健全性を守るため、③患者の隔離を承認し、これに参加するのである。
私は戦争に巻き込まれるのを避けるべく、平和政策を進めると共に、可能な限りの措置を講ずる決意である。現代にあっては、また過去の経験と向き合っていれば、如何なる国も、自国に仇なすこともなければ充分な防衛力も持たない弱小国の領土を、厳粛な条約を破って侵略することにより、全世界を戦争に巻き込む危険を冒すほどに、愚劣で冷酷であるとは考えられない。...」
問1 下線部①について、ここで述べられた「国際秩序」「国際法」としては、【 あ 】【 い 】【 う 】が対応する。これらあ~うはそれぞれ、以下の選択肢のうちどれか。それぞれ選べ。
① ロカルノ
② ケロッグ=ブリアン(不戦)
③ 九カ国
④ ベルリン
⑤ 国際連盟
⑥ ラパロ(ラッパロ)
問2 下線部②について、「これら」とは具体的に何を指すものと考えられるだろうか。関連すると考えられるものとして誤っているものを、以下から選びなさい。
① イタリアによるエチオピア侵略
② 日本によるシンガポールの占領
③ ドイツによるズデーテン地方の併合
④ イタリアによるフィウメの併合
問3 下線部③について、これはアメリカ合衆国が、今後どのような外交政策をとるという意味を示すものだろうか。以下から適するものを選びなさい。
① アメリカが、フランスを孤立化させ、ドイツ・イギリス側に立つ。
② アメリカが、イギリスを孤立化させ、フランス・ドイツの側に立つ。
③ アメリカが、ドイツを孤立化させ、イギリス・フランスの側に立つ。
④ アメリカが、フランスを孤立化させ、ソ連・イギリス側に立つ。
⑤ アメリカが、イギリスを孤立化させ、イタリア・ソ連の側に立つ。
⑥ アメリカが、ドイツを孤立化させ、イギリス・イタリアの側に立つ。
⑦ アメリカが、中立的な立場に立つ。
問1 あ ⑤ い ③ う ②
問2 ② 日本によるシンガポールの占領
②のみ、演説がなされた1937年以後の出来事である。
問3 ③ アメリカが、ドイツを孤立化させ、イギリス・フランスの側に立つ。