コンゴに関する問題

問題 次の史料は、ジャーナリストのE.D.モレルにより1900年12月1日に書かれたコンゴの「ある国家」に対する批判である。史料を読み、次の問いに答えなさい。

 

 

「一連の論考はただ一つの目的のために書かれた。それはコンゴ国の統治体制の何たるかを明るみに出し、今終わろうとしている世紀にとって、文明にとって、そして人間性にとって不名誉なスキャンダルにイギリスの公衆の注意を向けるという目的である。十分な告発がなされたとはとても言い難い。さらに付け加えるべき事実が多々残されている。しかしアフリカとその息子たちの幸福となるはずの「自由・独立」国において、ヨーロッパ列強の目が届かないところで、いかなる地獄の邪悪、恐るべき荒廃が生じていたのかについて、正しい判断力のある人なら理解するに十分な証拠は提示された。

(中略)

【 あ 】はこの問題に集団的責任を負っている。①彼らはコンゴ国を創り、暗黒大陸の他の部分を政治的に分割しながら、このスキャンダルの拡大を眼前に、これまで何もしなかったとは言えないにせよ、干渉に対する相互の嫉妬からほとんど無力であった。

個人的な責任の所在については疑問の余地がない。歴史はそれをコンゴ国元首である【 い の前に正しく置くことだろう。その放逸な野心と特異な道徳律とがコンゴ国に現状の惨状をもたらしたのだ。」

(『世界史史料(8)』279頁)

 

問1 下線部①について、この決定がなされた会議は、ヨーロッパのどの都市で開かれたか。 

問2 【 あ 】【 い 】に当てはまる語句の組合せとして、適当なものを以下から選べ。

 ① ヨーロッパ列強 ー レオポルド2世
 ② ヨーロッパ列強 ー ヴィルヘルム2世
 ③ アメリカ合衆国 ー レオポルド2世
 ④ アメリカ合衆国 ー ヴィルヘルム2世

問3 このジャーナリストの追及は、「ある国」の正統性についてヨーロッパで大きな議論を喚起した。
 次の風刺画も、そのような議論の中で描かれたものである。この風刺画について話し合っているチトセさんとコウスケさんの会話を読み、下線部①~④の内容のうち内容に誤りを含む選択肢を一つ選びなさい。

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「渦巻くゴムの中で」『パンチ』誌(1906年

コウスケさん 「中央の人物に巻き付いているのは何だろう?」

チトセさん  「蛇みたいだけど、きっと「頭」の部分は「ベルギー王」を表しているんじゃないかな」。
コウスケ   なるほど。「ベルギー王」が「蛇」として描かれているのか。この蛇は題名によると「ゴム」を表しているようだから、「ゴム」によってコンゴ人が苦しめられているのを告発しようとしたんだよ、きっと。でもどうして「ゴム」が出てくるんだろう。
チトセ    たぶん、天然ゴムのプランテーションじゃないかな。
コウスケ   当時、天然ゴムには需要があったのかな。この頃はまだ自動車は発明されていないし
チトセ    何か用途があったのかもしれないよ。ベルギーは19世紀前半にオランダから独立したばかりの国だし、資源確保の目的があったのかもしれない。
コウスケ   風刺画の下に記された「コンゴ ”自由” 国」という表現も気になるね。実際には自由じゃないコンゴ自由国が、「ベルギー国王」の私領として野放しにされているのを皮肉ったんだね。
チトセ    そう思う。結局コンゴ自由国はベルギー政府の領土になるけど、その後はどうなったんだろう。
コウスケ   第一次世界大戦に独立しているよ。でも独立が達成された直後、④ベルギー政府の介入によって内戦が起こったようだ。南部の鉱山をめぐる資源の利権をめぐる対立に、旧宗主国のベルギーや大国が干渉したことが原因らしい。


 

 

 

解答

問1 ベルリン
問2 ① ヨーロッパ列強 ー レオポルド2世
問3 ① この頃はまだ自動車は発明されていないし